日本健康教育学会誌
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実践報告
運動習慣の形成を支援するための家庭用体操ロボットの実用性の検討
種田 行男加納 政芳山根 基笠井 達也鈴木 敏博加賀 善子
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2009 年 17 巻 3 号 p. 184-193

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抄録

目的:中高年女性の運動実施意欲を高めて運動習慣の形成を支援するための家庭用体操ロボットを開発し,その実用性を検討した.
方法:対象者は軽度の膝痛を有する中高年女性6名,年齢64(SD11)歳であった.この6名に膝痛軽減のための体操(膝関節の屈伸,大腿四頭筋の収縮,膝関節の屈曲と大腿四頭筋のストレッチ,膝関節まわりの筋収縮)を指導した.体操ロボットはHITEC Robotics製のROBONOVA―I(高さ310×幅180×奥行き90mm,重量1.3kg)を使用し,膝痛軽減体操を模擬するプログラムをロボットに搭載した.6人の対象者に体操ロボットを貸与し,20日間毎日自宅でロボットと一緒に体操を実施するように指示した.ロボットとの体操期間終了後にFocus Group Interview(FGI)を実施し,その内容を質的に分析した.
結果:対象者の介入期間中のロボット利用率は,90.4(SD12.5)%であった.インタビュー内容の質的分析の結果,3つのカテゴリーおよび11のサブカテゴリーが抽出された.これらのカテゴリーの関連性を検討し構造モデルを作成した.その結果,体操習慣形成の構造は,「体操ロボットに対する好印象」に始まり,「動機づけ」,「ロボットへの愛着」,「仲間意識」を通じて「体操ロボットの積極的利用」に到達した.
結論:対象者となった中高年女性は体操ロボットを積極的に受け入れていた.今回用いた体操ロボットは対象者の体操習慣の形成支援ツールとして活用できることが示唆された.

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© 2009 日本健康教育学会
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