日本健康教育学会誌
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実践報告
健康づくりのための通信教材の有用性に関する研究
上田 由喜子窪 紗耶加
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2010 年 18 巻 1 号 p. 14-23

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抄録

目的 就労者の健康づくりには,定期的な健康教育が有効であるが,単回の指導でも行動変容が可能であるとされている.そこで,行動変容ステージ変化に着目した教室・教材融合型健康教育の有効性を評価することを目的とした.
方法 事前調査に回答した就労者63名(20歳代~60歳代)に大学生協にて食事と運動に関する健康教育を実施し,その後無作為に教材介入群と対照群に振り分けた.教材介入群には,食事バランスガイドやエクササイズガイドに関する理解から望ましい態度形成のきっかけとなる通信教材を月に1回(計3回)配布した.解析対象は,事後調査の返信を得た40名(介入群17名,対照群23名)とした.
結果 教材介入群では,介入前後で食習慣スコアの総得点,意識の高揚,環境的再評価,自己再評価,援助関係の得点に有意な差が認められた.しかし両群間においては,食習慣および運動習慣スコア,各変容プロセス得点,行動変容ステージ変化に有意な差は認められなかった.教材に50%以上取り組んだ者は,17名のうち10名であり,そのうちのほとんどが準備ステージ以降であった.実践できなかった者(7名)の多くは,時間がないことを理由にあげていた.
考察 今回の教室・教材融合型健康教育は,健康に関心があり具体的な方法や情報を必要としている準備ステージの対象者には有効であると考えられた.

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© 2010 日本健康教育学会
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