日本健康教育学会誌
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総説
サーベイランスに基づく組織横断的なセーフティプロモーションの展開
渡邊 能行三谷 智子横田 昇平
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2010 年 18 巻 3 号 p. 200-208

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抄録

WHO CSP協同センター(WHO Collaborating Center on Community Safety Promotion)が示しているセーフコミュニティ(Safe Community)の6つの指標の中には,「傷害が発生する頻度とその原因を記録するプログラムがある」ことが明示されている.わが国で初めて2008年3月に,WHO CSP協同センターによるセーフコミュニティの認証を得た亀岡市では,外傷サーベイランス研究委員会においてどのようなプログラムを実施するかの検討を行った.死亡統計,警察の統計,消防の統計等の既存の資料では軽微な傷害の頻度と原因を明らかにすることはできない.そこで,地域の4病院と17診療所において2007年5月から傷害患者を登録するサーベイランス事業を開始し2008年4月末まで続けた.この事業の開始によって,多くの組織横断的部門,すなわち,直接安全と安心に関わる警察や消防に加えて,保健所,医師会,歯科医師会といった健康関連団体がセーフコミュニティ活動へ積極的に参画することとなった.これは,WHO CSP協同センターが示しているセーフコミュニティの6つの指標のもう一つの指標である組織横断的な取り組みにも寄与するものであったといえる.

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