日本健康教育学会誌
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総説
食に関する持続可能なヘルスプロモーションの研究展望
西垣 悦代
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2011 年 19 巻 2 号 p. 151-157

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抄録
第20回IUHPE世界会議への参加及びジュネーブ大学病院の視察を通して,食の啓蒙や教育のあり方と食の行動変容へのアプローチの動向をスイスの事例を中心に調査した.
会議では食品と栄養や食行動をタイトルにしたセッションは,シンポジウム1件,ワークショップ1件,口頭発表とポスター発表は6セッション(71演題)あった.Health, Equity and Sustainable Developmentという会議の主題に合わせ,食のsustainability(持続可能性)として,表示の問題が論議された.また,持続可能な発展とヘルスプロモーションの舞台としては大学が注目されていた.
IUHEPと共に会議を主催したHealth Promotion Switzerlandはヘルスプロモーションと持続可能な発展するコミュニティ実現のために,食を環境や経済の一貫したシステムの中に組み入れることを提唱している.具体的な実践としては,地域経済や環境問題と密接に結びついた広義の消費者教育としての食の教育がwell-beingに繋がるというコンセプトが取り入れられつつある.
肥満や糖尿病治療における食の改善へのアプローチとしては,ジュネーブ大学病院の治療的患者教育プログラムにおける心理的介入が参考になった.
これらのヨーロッパにおけるヘルスプロモーションの動向は,制度や取り巻く環境の異なる日本においても参考にすべき点があった.
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© 2011 日本健康教育学会
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