日本健康教育学会誌
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総説
ヘルスリテラシー研究の概況
第20回IUHPE世界会議のレビュー
蝦名 玲子
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2011 年 19 巻 2 号 p. 158-162

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抄録
本稿では,第20回IUHPE世界会議において発表されたヘルスリテラシーに関する研究を概観し,今後の我が国における研究への示唆を得ることを目的とした.
ヘルスリテラシーの概念は,今もなお,発展途上である.健康を高めたり維持したりするのに必要な情報にアクセスし,理解・利用していくための,個人の意欲や能力を決定する,認知・社会的なスキルであるヘルスリテラシーの概念への理解を深め,そうしたスキルを高める方法や評価方法を検討することが主な論点であった.また臨床医療,公衆衛生の各場における,ヘルスリテラシーが健康に与える影響や,ヘルスリテラシーを高める要因及び高めることを阻害する要因について論じられた.
今後,日本で重要となるのは以下の3点である.1)我が国に適した形で,包括的なヘルスリテラシー概念を理解するためのフレームワークや測定尺度を開発すること,2)ヘルスリテラシーと健康の関係についてさらに探究すること,3)ヘルスプロモーション・健康教育の介入研究の際に,ヘルスリテラシーの視点からその効果を検討すること,である.
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© 2011 日本健康教育学会
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