日本健康教育学会誌
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実践報告
4学年社会科および総合的な学習の時間における食に関する指導
学校給食の食べ残しに着目した授業実践
坂本 達昭萩 真季鉄谷 佳代春木 敏
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2012 年 20 巻 2 号 p. 119-130

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抄録

目的:学校給食を残さず食べる行動形成を目標に,4学年社会科ならびに総合的な学習の時間における食に関する指導を実施し,その実施可能性と効果について検討した.
方法:2009年6月,大阪市立A小学校の4学年児童31人を対象として授業を実施した.生活ごみに関する社会科学習において給食室から出るごみを取りあげた.総合的な学習の時間において残食減を目指す全校キャンペーンを実施した.児童のワークシート記述内容および授業者による授業進捗状況,キャンペーンについて評価を行った.さらに,キャンペーン実施前後10日間の全校の残食率および全校の月間残食率(6~10月)を前年同月と比較した.
結果:社会科学習より,ごみを減らすためにできることとして,「食べ残しをしない」を21人(67.7%),給食を残さず食べる工夫として,「食べられる量を盛り付ける」を30人(96.8%)が提案した.教諭は,概ね授業を計画通り進めることができ,児童はキャンペーンに意欲的に取り組むことができたと評価した.キャンペーン実施前後の比較より,キャンペーン実施後に残食率が有意に低下した.さらに,2009年7月の残食率は,前年同月と比較し有意に低値を示した.
結論:社会科および総合的な学習の時間における食に関する指導は実施可能であり,学校給食を残さず食べる行動形成の一助となる可能性が示唆された

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