日本健康教育学会誌
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原著
日本人小学生における近隣身体活動環境尺度の開発
石井 香織柴田 愛佐藤 舞岡 浩一朗
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2012 年 20 巻 3 号 p. 180-191

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抄録

目的:子どもを取り巻く物理的環境要因は,子どもの身体活動に長期的に影響を与える.本研究の目的は,日本の小学生における近隣身体活動環境尺度を開発し,学外余暇身体活動および通学中の歩行との関連を検討することである.
方法:小学生の子どもを持つ1,074人の20歳から59歳の保護者を対象に,ウェブ調査による横断調査を実施した.社会人口統計学的要因(保護者の性,年齢,子どもの性,年齢,身長,体重)と全16項目から成る近隣身体活動環境尺度,学外余暇身体活動および通学時における身体活動実施時間を調査した.
結果:探索的因子分析を行った結果,安全性因子5項目,魅力的な景観因子4項目,治安因子2項目,不快な景観因子2項目の計4因子13項目が抽出された.構成概念妥当性を検討するため,確認的因子分析を行った結果,適合度指標は満足な値を示した(GFI=0.969, AGFI=0.949, RMSEA=0.052, AIC=288.360).また,各因子の内部一貫性は良好な値(r=0.67~0.79)が,安定性の次元の信頼性は中等度の値(r=0.55~0.68)が得られた.さらに,近隣身体活動環境の安全性が高い,魅力的な景観である,あるいは不快な景観ではないと認知している者は,学外余暇身体活動および通学中の歩行時間が有意に長かった.
結論:本研究で開発した近隣身体活動環境尺度は,信頼性および妥当性が認められた.本尺度は,身体活動に関連する近隣環境認知を評価するために信頼でき,日本の小学生に適用可能である.

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© 2012 日本健康教育学会
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