抄録
背景:2011年8月に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布・施行された.また,都道府県においても条例制定の動きが広がり,その数はすでに半数以上に達している.このような口腔保健をめぐる施策とその方向性は,口腔と全身の健康を双方向にかつ包括的に捉えるものである.しかしながら,その実施体制と評価指標など課題も多い.
内容:口腔保健の評価は,(1)健康教育,社会環境整備等の働きかけ,(2)口腔保健行動,(3)口腔疾患,口腔機能およびQOL(4)全身の健康への影響という枠組みで整理できる.これらの評価指標を多職種間で共有することが必要である.また,口腔保健のアウトカムを,全身の健康状態から捉えることによって,口腔保健に対する取り組みを一層推進していくことが可能となる.一方,歯科疾患および口腔機能の低下に関わるリスクは,生活習慣病(NCD)のリスクと共通するものが多い.これらへのアプローチは個々の健康教育の効果を相互に高め,保健医療資源の効率的な活用という点からも重要である.
結論:口腔保健は,生命の保持と生活の質の確保に欠かすことのできない機能であり,生涯にわたる健康課題の一つである.口腔保健に関わる多領域が,その資源とプログラムおよび評価を共有するシステムと成果の蓄積が急務である.