背景:国の第2次食育推進基本計画の目標項目の1つに,「よく噛んで味わって食べる国民の増加」がとりあげられた.栄養と口腔保健の関係は,食育や健康づくりにおいて,一層深まる傾向にある.
内容:食行動,食習慣および食物摂取状況が,口腔機能の発達や口腔の健康とどのように関連しているのかを,子ども,成人,高齢者について概説した.その結果,口腔保健と栄養の分野が一層連携・協働して健康教育やヘルスプロモーションを進めることの必要性を確認した.
結論:最後に,栄養と口腔保健の架け橋をより強固なものとしていくために,3つの方策があることを提言する.第1は両分野の共同研究の一層の推進,第2は食育・保健指導・介護等の現場における両分野が連携した実践の推進とその実績を社会に示すこと,そして最後に両分野の専門職,すなわち歯科医師および歯科衛生士と管理栄養士・栄養士が互いに相手の分野や専門性について理解を深めることである.