2014 年 22 巻 2 号 p. 133-145
目的:電子メールを活用した職域ウォーキングプログラムを開発し,勤労者のウォーキング行動を促進する事業を行った.本論文は本事業の有効性の評価を行い,今後の課題を明確にすることを目的とした.
方法:K県の事業所Aが実施した社内研修参加の従業員210名を対象とし,準実験研究デザインにより,ウォーキングプログラムへの参加希望者に対して4ヵ月間のプログラムを2回実施した.プログラム実施前後にウォーキング時間とウォーキング行動の変容ステージに関する自記式質問紙調査を行い,プログラムのアウトカム評価を行った.2回のプログラムのどちらかに参加した45名のうち,事後調査に回答の35名を介入群とし,どちらにも参加を希望しなかった165名のうち,事後調査に回答の110名を対照群とした.第1回プログラム終了後のアンケートに回答の20名を対象としてプログラムのプロセス評価を行った.
結果:介入群は対照群と比較して,介入前後のウォーキング時間の増加量が60分/週長く,群間の差は有意だった(p=0.02).介入群では,仕事場面で有意な増加(50分/週)が認められた(p=0.02).プログラム前後の行動変容ステージの変化量には,群間で有意な差はなかった(p=0.22).
結論:電子メールを活用した職域ウォーキングプログラム介入により,勤労者のウォーキング時間が増加する効果が示唆された.