日本健康教育学会誌
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特別報告
タバコ規制研究の動向から見た我が国の現状と課題
北田 雅子望月 友美子
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2014 年 22 巻 2 号 p. 153-161

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抄録
目的:本稿では,第21回ヘルスプロモーション・健康教育国際連合(IUHPE)世界会議において報告されたタバコ規制に関する調査研究の動向を概観し,世界のタバコ規制の現状と今後の方向性を考察するとともに,日本の課題を検討することを目的とした.
方法:学会抄録附属DVDを用い,タバコ規制に関する発表88演題(口頭発表,ワークショップおよびポスター)の抄録を全てレビューした.
結果:演題内容は,タバコ規制の政策や戦略24,若者や未成年の喫煙防止13,禁煙サポート18,受動喫煙からの保護20,メディアやマーケティングによるタバコ規制等13であった.世界会議開催国タイからの演題は44と全発表の半数を占めた.これらの演題レビューの結果から,世界のタバコ規制は2005年に発効したFCTCにより,その取り組みが一気に加速しており,国家レベルで包括的な取り組みが展開されていることが明らかとなった.
結論:日本の今後の課題は,他国のようにFCTCに沿ったタバコ規制を国内で推し進めることである.そのためには,ヘルスプロモーションの専門家は,一般市民のタバコリテラシーの向上を目指し,タバコ産業の活動(特に社会貢献活動,CSR)に抗する対策を考え,タバコの害から全ての人を守るための「政策決定の橋渡し(アドボカシー)」の役割を果たすことが必要であると思われた.
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© 2014 日本健康教育学会
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