日本健康教育学会誌
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特別報告
非感染性疾患予防に向けたアドボカシー
―日本におけるキャパシティ・ビルディング
SHILTON Trevor
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2016 年 24 巻 2 号 p. 102-117

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抄録
背景:2011年,国際連合は非感染性疾患(NCDs)に関するハイレベル(UN High Level Meeting)会合をニューヨークで開催した.NCDsが世界における最大死亡原因であるという報告を受けてのことである.この会合において,国連加盟国は多岐に渡る対策について合意した。しかしながら,依然としてNCDsに対する国際的コミットメントの実現は大きな課題であり,継続的なアドボカシーが求められている.そのため,これまでヘルスプロモーション・健康教育国際連合(IUHPE)や日本健康教育学会を始めとする学術団体は,アドボカシーの重要性を提唱し,アドボカシーに関わる専門家への研修を推進してきている.
内容:2012年より,IUHPEはコロンビア,タイ,ニュージーランド,エストニア,フランス,台湾において,NCDsに関するアドボカシーワークショップを開催してきた.直近では日本健康教育学会が,2016年2月に,1日間のワークショップを東京で開催した.本ワークショップの目的は2つである.第1は,アドボカシーとは何か,その内容と実践の方法を参加者に伝えることである.第2は特定の健康課題に関するアドボカシー戦略作成の機会を参加者に提供することである.各グループが作成した行動計画は本ワークショップの重要な成果物となった.
結論:ワークショップ参加者は,効果的なアドボカシーを行うために必要な,アドボカシーの定義,それを実践するために必要な様々なコンピテンシーモデルに触れることができた.日本健康教育学会が国内における健康課題に取り組む上で,このワークショップは規模としてはまだ小さいものである.今後は,さらなる研修が必要である.またヘルスプロモーションに従事するより多くの日本人専門家に研修を提供するためには,講師育成研修が必要である.日本におけるヘルスプロモーション推進のためには,参加者が個々の職場で,新たに身に付けた技術を活かすだけでなく,それらの技術を同僚にもまた伝えることが必要である.
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© 2016 日本健康教育学会
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