日本健康教育学会誌
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特別報告
中小企業担当者へのインタビューから見えてきたこと
白田 千佳子
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2018 年 26 巻 2 号 p. 180-184

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抄録

目的:現在,政府が成長戦略として健康経営の推進を進めているが,中小企業にどこまでこの健康経営を広げることできるかは重要な課題である.協会けんぽ千葉支部は,健康経営を推進するために幹部職員が事業所訪問をして事業主・担当者へその中身を説明している.管轄下にある339社が「健康な職場づくり宣言」をしているものの健康経営の進め方がわからないという声もある.そこで,これまで中小企業に展開できた好事例を収集し,報告することにした.

内容:協会けんぽ千葉支部に加入している中小企業のうち,健康経営の取り組みに成功した中小企業3社の担当者にインタビューした.3社の事業形態は,建設業,運輸業と清掃業であり,それぞれ会社の構成は違う.しかし,健康経営に関しては,3社共に「健康づくり」の前に人と人との「関係づくり」ができており,健康経営を推進する土台があった.組織トップと担当者のベクトルが同じであり,顔の見える関係性を築いていたという特徴があった.また,健康経営が企業の生産性を上げるとも期待されていた.

結論:より多くの中小企業が健康経営を実現するためには,健康経営がいかに事業運営に結びつくかの評価指標を示していくことが重要である.そして好事例の経験を活かしながら,横への展開していくことが今後の課題である.

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