日本健康教育学会誌
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特別報告
飲食店における受動喫煙防止活動としてのアクション・リサーチ—ケムランの取り組み—
伊藤 ゆり
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2020 年 28 巻 2 号 p. 150-157

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抄録

2020年4月に改正健康増進法および東京都受動喫煙防止条例が施行され,飲食店は原則屋内禁煙となる.しかし,敷地面積や従業員の有無などの除外条件により,約2~5割程度は屋内禁煙の対象外となる.本特別報告では「第8回健康寿命をのばそう!アワード・厚生労働省健康局長優良賞」を受賞したケムラン~屋内完全禁煙の飲食店を応援する会~の飲食店における受動喫煙防止活動としてのアクション・リサーチについて紹介する.ケムランは法施行に先行して屋内完全禁煙で営業している美味しい飲食店を紹介するウェブサイトで,公衆衛生系研究者が運営し,一般市民のボランティア特派員により,店舗が登録されている.2020年3月末現在,全国で約200名の特派員により約850店舗が掲載されている.ケムランは飲食店が禁煙化に踏み切ることを後押しするために,先行して禁煙にしている飲食店の事例をウェブサイトにより共有することを目的としている.例えば,禁煙化のきっかけや禁煙に変更後の売り上げの変化,禁煙化のメリット,喫煙者への対応などの情報を共有している.文京区では住民参加型の協働事業として,地域密着型ケムランが初めて誕生した.文京区生活衛生課をはじめ,区の関連部局のみならず,様々な関係団体,区民,企業との協働を通じ,住民参加型のヘルスプロモーション活動を実施した.今後,他自治体への横展開やさらなる発展が期待される.

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