目的:成熟期就労女性に対するプレコンセプションケア(preconception care: PCC)啓発のために,健康教育プログラムを実施し,評価を行うことを目的とした.
方法:近畿圏,首都圏に居住する,20~35歳の就労女性84人に,リーフレットを用いて,小グループの「健康教育セミナー」と,「集団討議」「フィードバックコメント」による介入を行った.主要アウトカム指標は,「PCCの知識」「PCCに関わる意識と行動」「食物摂取頻度調査」とし,セミナー前と終了時・3か月後に調査を実施した.「PCCの知識」は,コクランのQ検定,ボンフェローニの多重比較,「PCCに関わる意識と行動」は,マクネマー検定,「食物摂取頻度調査」は,ペアードt検定を用い統計解析をした.
結果:有効な回答が得られた75人(89%)を分析の対象とした.「PCCの知識」を有する者の割合は,セミナー前より終了時において増加し(P=0.020),3か月後もその水準が維持された.「PCCに関わる意識と行動」を有する者の割合が,3か月後に増加した項目は,「葉酸を含む食品を積極的に食べる」49人(65.3%)(P=0.038)「乳がんの自己検診をしている」20人(26.7%)(P=0.001)であった.
結論:本健康教育プログラムは,3か月後に「PCCの知識」を定着させ,「乳がんの自己検診率」を高めるのに有効であることが示唆された.行動変容が見られなかったその他のPCCの行動については,今後,プログラムの内容を見直す必要がある.
抄録全体を表示