2021 年 29 巻 1 号 p. 3-15
目的:健康リスクの改善や生産性維持・向上において,「健康的な職場文化(workplace culture of health)」の醸成が重要であるというエビデンスが蓄積され始めている.本研究では,文献レビューを実施し,「健康的な職場文化」の質的帰納的な概念抽出ならびに整理を行うことを目的とした.
方法:Web of Science, CiNiiを用いて検索した.包含基準に該当した19件を対象に,「健康的な職場文化」に関する抽出内容を意味内容ごとに分類し,カテゴリ名を作成した.
結果:「健康増進の方針の明文化」「従業員のニーズに合った健康増進の取り組み内容の充実」「職場の健康増進の取り組みへの従業員の積極的参加」「会社全体が従業員の健康を大切に想う」「健康に関する同僚同士のサポート」等,計10項目のカテゴリを作成した.
結論:健康経営における「健康的な職場文化」に関する計10項目のカテゴリを作成した.「健康的な職場文化」の視点を活かした健康保持増進の取り組みやその評価は,健康経営のPDCAサイクルを効果的・効率的に展開する上でも有効であることが示唆された.