2022 年 30 巻 2 号 p. 156-162
COVID-19パンデミック下では,感染拡大と同時に,感染症に関するさまざまな情報が拡散されている.拡散される情報は,正しい情報ばかりでなく,誤情報や偽情報も氾濫し,この状況はインフォデミックと表現され,COVID-19だけでなく公衆衛生にさまざまな悪影響をもたらしている.インフォデミックは,広く普及した双方向性をもったインターネットと共有も容易であるソーシャルメディアによる影響が大きい.そのため,インターネットやソーシャルメディアのプラットフォームでの対応や,ソーシャルメディアの分析による現状把握と対応が進められている.それと同時に,情報を受け取る側が誤・偽情報を判断し,それらを共有しないことも重要であることから,デジタルヘルスリテラシーを向上させることも求められている.日本においても,COVID-19パンデミック下でインターネットやソーシャルメディアも主な情報源のひとつとなり,多くの者が誤情報や偽情報に接触していた.また,情報の真偽の判断ができない傾向や,拡散・共有経験も一定数みられる.今後は,インターネットやソーシャルメディアの情報やデジタルヘルスリテラシーの現状把握をし,それをCOVID-19の感染対策やワクチン接種,そして今後の公衆衛生上の課題解決につなげていくことが期待される.