日本健康教育学会誌
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原著
新型コロナウイルス感染拡大前後における飲酒頻度変化の関連要因
大内 実結赤松 利恵 新保 みさ小島 唯
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2022 年 30 巻 4 号 p. 271-282

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抄録

目的:飲酒量の増加防止に役立てることを目的に,COVID-19感染拡大前後での飲酒頻度の変化に関連していた要因を検討した.

方法:2020年11月実施のインターネットによる横断調査のデータを用い,男性2,092人,女性1,526人の飲酒者を対象とした.飲酒頻度の変化により,対象者を減少群,増加群,変化なし群の3群に分けた.これら3群と,生活習慣や健康への意識の変化,ストレス,COVID-19への恐怖,ヘルスリテラシーとの関連を,多項ロジスティック回帰分析によって検討した.

結果:男性で飲酒頻度の増加と関連がみられた項目は,睡眠時間,運動時間,外食頻度の各々の減少と増加,在宅勤務頻度の減少,健康への意識の上昇と低下,ストレスの高得点,COVID-19への恐怖の高得点であった.女性では,男性と同様の項目に加えて在宅勤務頻度の増加とも関連がみられた.男女とも,飲酒頻度増加群でのみCOVID-19への恐怖が強く(調整オッズ比[95%信頼区間],男性:1.05[1.03, 1.08],女性:1.05[1.02, 1.08]),減少群でのみヘルスリテラシー得点が高かった(男性:1.03[1.01, 1.04],女性:1.03[1.01, 1.05]).

結論:飲酒量の増加防止の観点からはCOVID-19への恐怖に対する対処,飲酒量の減少の観点からはヘルスリテラシーの向上に向けた取組の重要性が示唆された.

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© 2022 一般社団法人日本健康教育学会
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