2022 年 30 巻 4 号 p. 283-293
目的:小学校高学年の児童の生きる力と家庭及び学校における食行動・態度との関連を明らかにすることを目的とした.
方法:2019年7月に兵庫県K市内小学校4,5,6年生児童971名を対象に,自記式質問票を用いた横断研究デザインによる宿題調査を行った.家庭における夕食中の様子や家族との関わり,学校給食に関わる食行動・態度,さらに夕食中の会話の内容,食事の手伝い内容をとりあげた.食行動・態度の項目に分布の差を確認したため,男女別に解析を行った.生きる力の得点を従属変数に,児童の食行動・態度を独立変数とした強制投入法による重回帰分析を行った.さらに同様の方法で,会話の内容,手伝い内容との関連を検討した.
結果:児童の生きる力は,男女ともに夕食時の家族との会話と正の関連(男子:標準化回帰係数β=0.20 P=0.002)(女子:β=0.12 P=0.044)があり,さらにその会話の内容は,学校のこと(男子:β=0.25 P=0.003)(女子:β=0.17 P=0.031)等であった.また男子では食事の手伝い行動全般に正の関連が確認された.加えて生きる力は,男子では給食で嫌いな食材を残さないようにする,女子では野菜が好きといった食態度にも関連していた.
結論:児童の生きる力と家庭及び学校における食行動・態度の一部には,男女で異なる関連がみられた.夕食時の家族との会話は男女ともに生きる力に関連する食行動であった.