日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
ISSN-L : 1340-2560
原著
日本と豪州国民の各種う蝕予防法に関する認識と実践の差
山田 智子ハフマン ジェフリー田口 円裕石上 和男永井 徹木下 直彦瀧口 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 31 巻 3 号 p. 117-126

詳細
抄録

目的:国際専門機関が共通して認める水道水フッ化物添加(CWF: community water fluoridation)は優れた公衆衛生的う蝕予防対策である.CWFに関する決定は住民に責任を負託された代表者によって州,もしくは地方政府レベルで行われ,多くの政府決定は個人の選択レベルにある程度影響される.そのことから先進国のうち全国規模で地域格差が少なく高率にCWFを行っている豪州とCWF未実施の日本において各種う蝕予防法の知識と認識および実践(経験)状況の比較を目的とした.

方法:両国のweb調査会社モニターを対象として,性別,年齢階層別に抽出した日本人1,008名,豪州人1,020名を対象に自己入力式web調査を行い,日豪の比較分析を行った.モニターの回答回収期間は2021年7月10日から8月25日までの47日間であった.

結果:日豪間で歯みがきの励行以外は大きな差があり,日本が高いのは女性の40~64歳の歯みがきおよびフロス・歯間ブラシの実施者率のみであった.CWF等フッ化物利用の知識・実践(経験)者率は豪州に比べ日本は極めて低く,CWF関連情報の入手先は豪州では歯科医師からの比率が高い状況であった.

結論:本研究では日豪においてう蝕予防のために行っている口腔保健行動およびフッ化物の知識・実践(経験)の状況に差異が存在することを明らかにした.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本健康教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top