2024 年 32 巻 4 号 p. 354-360
健康教育・ヘルスプロモーション領域の研究において質的データの重要性への認識が高まりを見せている.質的研究の有用性は理解しているものの,分析手法が多岐にわたることや具体的な分析手続きが不明瞭であることから躊躇した経験を持つ者も多いのではないだろうか.本稿では,まず質的データ分析のための様々なアプローチと手法について概観を行い,それぞれの特徴を踏まえて整理をする.次に,ほとんどの質的分析手法の出発点となるコーディングに焦点を当てて,質的データ分析のプロセスについて概説し,コンピュータ・ソフトウェアを使用した質的分析例についても紹介する.質的研究の分析は,多くの時間と手間を要するが,データと丁寧に向き合うことで,研究の解釈の幅が広がり,個人や社会が抱えている健康課題の解決に向けた新鮮で興味深い視点を導き出すことが可能となる.