日本健康教育学会誌
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参加的な健康教育による生活習慣の認識とモチベーション形成のプロセス
田中 景子大島 晶子牛島 佳代荒川 雅志守山 正樹
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2004 年 12 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

目的: 健康教育の場で参加形式の異なる2種のグループを設定し, 参加者の自己の生活習慣の認識や意欲の創造における相違点を明らかにする.
方法: 食生活や生活習慣を振り返るための方法として2種の参加形式を設定した.一つは参加者同士が自由に交流を行い, もう一つは4, 5人ずつのグループ内で交流する形式である.交流によって気づいたことや感想等を記入する質問票を配布・回収し, 質問票に記入されたテキストから, 参加形式別にテーマを抽出する質的分析を行った.
結果: 抽出されたテーマを比較すると, 参加形式の違いによってモチベーションの形成過程が異なっていることが観察された.自由な交流をしたグループでは, 「一人ひとり違っている」というのに対し, 4, 5人のグループ内での交流では, 「他の人と同じで安心」という気付きであった.交流に関しては両グループとも「楽しい」と表現されたが, 前者では「話し合う」のに対し, 後者では「話を聞く」とされた.また意欲に関しては, 前者では「自分なりにがんばろう」というのに対し, 後者では「他の人に負けないようにがんばろう」と表現された.
結論: 参加形式の違いによって, 自身の実態の気付きや意欲の意味づけが異なっていることが観察された.今後は, このような意味づけの違いとモチベーションの継続性の関連, ならびに, 具体的な行動目標を設定する場面での専門家の関わり方について検討する必要があるだろう.

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