日本健康教育学会誌
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年齢段階による自己管理スキルの差に関する検討
高橋 浩之竹鼻 ゆかり佐見 由紀子
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2004 年 12 巻 2 号 p. 80-87

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抄録

筆者らは, 自己を管理するための認知的スキルを自己管理スキルと名付け, その尺度 (SMS尺度) を開発し, 保健行動との関連などを明らかにしてきた.本研究では, 年齢段階による自己管理スキルの差に関して検討を行った.
中学生144人, 高校生402人, 大学生223人, 成人501人を対象にSMS尺度を用いて自己管理スキルを測定し, その差を分析した.
SMS尺度の総得点は, 年齢段階を追って高くなっており, 自己管理のための認知的スキルは経験により獲得されていくことが示唆された.
次に, SMS尺度から「問題解決的に取り組むスキル」「否定的思考をコントロールするスキル」「即座の満足を先延ばしするスキル」の3つの因子を因子分析により抽出し, 因子ごとに年齢段階との関連を調べた.その結果, 「問題解決的に取り組むスキル」は比較的早い時期からの向上が, 他は遅い時期からの向上が見られた.後者はメタ認知的スキルの一種と見なされ, 獲得が比較的難しいスキルだと考えられた.
ライフスキル教育等の認知的スキルを重視する健康教育は, それぞれのスキルと年齢段階との関連を考慮した上で実施する必要があることが示唆された.
〔日健教誌2004; 12 (2) : 80-87〕

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