抄録
目的: 本研究では食習慣改善を目標にした減塩教室を事例として, シナリオ学習 (PBL方式) を応用した, 新しい教育方法のモデルを試行的に検討することを目的とした.
方法: 青森県I村の住民で, 2002年度の減塩教室に参加した26名を対象とした.参加観察法により, 教室参加住民の学びを記録し, 学習過程を質的に分析した.
結果: 各期における教室参加住民の学びを分析した結果, シナリオの登場人物の持つ問題点の抽出, シナリオと自分との共通点, シナリオの登場人物の解決策の考案, 自分のこれからの具体的目標, 改善目標の達成度に関する自己評価と反省, 教室全体を通じての意見, 等に類型化される学習過程が展開された.
結論: シナリオ学習 (PBL方式) を用いた健康教育における教授・学習活動を通して, 参加者たちは, 主体的な学習能力や健康問題の解決を自ら考案できる力, そしてまた健康教育の中で得られた成果を教育終了後の普段の生活に生かす力の基礎を身に付けることができたと捉えられる.