本研究の目的は, 健康意識および不健康の知覚を調査し, 無関心期の人々の特徴を明らかにすることである.
成人男女1, 076名を対象とした質問紙調査を実施し, 質問紙から健康意識および症状知覚, 健康戦略を示す部分を抽出した.回答者は無関心期 (PC) , 関心・準備期 (C+P) と実行・維持期 (A+M) に分類した.問1では包括的な健康意識を尋ね, 問2では16項目の自己の症状知覚の程度を尋ねた.16個の症状は因子分析を行い4つのカテゴリー (自覚的症状, 身体的症状, 検診的症状, 臨床的症状) に分類したうえで評価した.問3では, 具体的な健康行動を列挙し, 留意している行動を複数回答可で尋ねた.
包括的な健康意識は, ステージと共に高くなった.自己の症状知覚については, PCとC+Pで有意な差は見られなかった.また, 具体的な健康戦略に関してもPCはC+PやA+Mよりも低い採択率であったが, PCであっても栄養や休養についてはC+P, A+Mと同程度であった.このことから, PCの特徴として症状知覚にはほとんど差がないものの, 包括的な健康意識が低く, 具体的な健康行動までには至っていない人々であるといえる.とはいえ, 栄養・休養という健康戦略を採用するものがPCの中においても高い割合を占めており, 運動だけではなく, 栄養や休養といった健康情報の提供を交えた介入戦略が無関心期の人々に対する介入のゲートウェイとなりうる可能性が示唆された.
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