日本健康教育学会誌
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 衞藤 隆
    2005 年 13 巻 2 号 p. 59
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
  • 近藤 佳代子, 遠藤 雄一郎, 藤田 政博
    2005 年 13 巻 2 号 p. 60-67
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 疾患や外傷により顔に生じた異形が当事者にもたらす心理社会的影響を文献的に検討し, 研究の到達点と将来的な研究課題を論考することである.文献は“facial disfigurement”を検索式としてOvid MEDLINEとWeb of Scienceで収集した.文献は, 生物心理社会モデルに基づき, 身体, 心理, 社会の3領域に整理した.身体的領域では, 近年の動向として, 疾患別ではなく「顔の異形」を対象とした研究へ移行があった.また, 異形が現われた時の年齢や異形が現われてからの年数, 疾患の重症度は, 心理的な影響を必ずしも予測しなかった.異形の影響を発達段階ごとに検討する必要性も示唆された.心理的領域では, 心理的ウェルビーイングの低下は, これを主題とした多くの研究で支持された.従って, 今後は当事者の心理的健康を促進するための介入や支援の拡充が必要と考えられた.社会的領域では, 様々なスティグマを被る状況に曝されており, 心理的健康の低下と関連があったが, 患者一医師関係の検討と, スティグマを緩和するための施策の不足が課題だった.対処戦略は, 異形への適応に阻害的な対処として回避や隠蔽が注目されていた.ソーシャルサポートは心理社会的適応の予測因子であるが, 詳細な検討を欠いた.特に, 今後はライフサイクルを視野に入れた家族関係とサポートの分析が望まれた.
  • ―中学生・高校生を対象としたプログラムの比較―
    渡部 基, 野津 有司
    2005 年 13 巻 2 号 p. 68-76
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 我が国の学校において, 中学生または高校生を対象とした性・エイズ教育のピアエデュケーションプログラムの中から, 介入評価により一定の効果が認められているプログラムを取り上げ, ピアエデュケーターの養成内容, ピアエデュケーターによる教育内容およびその有効性の評価方法について明らかにし, 今後のプログラム開発の方向性を検討した.その結果, ピアエデュケーター養成プログラムは, 性・エイズ教育の基礎知識となる授業科目を修得した医療・看護職を志す大学生を対象としており, その中では, ピアエデュケーターが活用する指導方法の演習が行われていた.ピアエデュケーターには教育の基盤も重要であり, 今後は保健体育教諭や養護教諭を志す大学生を対象としたプログラムの開発も有意義であることが考察された.また, ピアエデュケーターによる教育プログラムは, 性・エイズに関する知識や態度の改善を目標として実施され, ピアエデュケーターが生徒と同世代の仲間としてのロールモデルの役割を果たすためにディスカッション等に参加していた.ピアエデュケーターのこうした役割は, ピアエデュケーションの特徴の一つであり, 教員が行う性・エイズ教育を補完する意味においても積極的に活用されるべきであると思われた.さらに, 教育プログラムの有効性の評価方法については, 対照群を設定しているものは少なく, 介入後のみで質問紙を用いて評価していることが多かった.準実験的デザイン等による信頼性の高いデータが得られる評価デザインが必要であることが指摘された.
  • 板倉 正弥, 武田 典子, 渡辺 雄一郎, 酒井 健介, 岡 浩一朗, 中村 好男
    2005 年 13 巻 2 号 p. 77-85
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 健康意識および不健康の知覚を調査し, 無関心期の人々の特徴を明らかにすることである.
    成人男女1, 076名を対象とした質問紙調査を実施し, 質問紙から健康意識および症状知覚, 健康戦略を示す部分を抽出した.回答者は無関心期 (PC) , 関心・準備期 (C+P) と実行・維持期 (A+M) に分類した.問1では包括的な健康意識を尋ね, 問2では16項目の自己の症状知覚の程度を尋ねた.16個の症状は因子分析を行い4つのカテゴリー (自覚的症状, 身体的症状, 検診的症状, 臨床的症状) に分類したうえで評価した.問3では, 具体的な健康行動を列挙し, 留意している行動を複数回答可で尋ねた.
    包括的な健康意識は, ステージと共に高くなった.自己の症状知覚については, PCとC+Pで有意な差は見られなかった.また, 具体的な健康戦略に関してもPCはC+PやA+Mよりも低い採択率であったが, PCであっても栄養や休養についてはC+P, A+Mと同程度であった.このことから, PCの特徴として症状知覚にはほとんど差がないものの, 包括的な健康意識が低く, 具体的な健康行動までには至っていない人々であるといえる.とはいえ, 栄養・休養という健康戦略を採用するものがPCの中においても高い割合を占めており, 運動だけではなく, 栄養や休養といった健康情報の提供を交えた介入戦略が無関心期の人々に対する介入のゲートウェイとなりうる可能性が示唆された.
  • ―某機械製造業労働者の事例―
    森谷 栄子
    2005 年 13 巻 2 号 p. 86-96
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 企業労働者の保健行動とHealth Locus of Controlの関連性を明らかにし, 今後の健康教育を提供する上での基礎資料を得ることを目的に調査を実施した.
    調査は, 某企業に勤務する従業員959名から無作為抽出した480名を対象に調査を実施し437名 (有効回答率91.0%) から回答を得た.調査期間は2001年8月から9月であった.
    その結果, 以下のことが明らかになった.1) 管理職は, 他の職種よりも内的統制傾向が強かった.2) 労働者において内的統制傾向が強い者が, 外的統制傾向が強い者より多くの保健行動を実施していた.3) 労働者においてHealth Locus of Controlが他の要因より保健行動の実施に最も関連性があった.
  • ―第1報: 教授・学習方法の試行的検討を中心に―
    浅田 豊, 山本 春江, 竹森 幸一, 仁平 將
    2005 年 13 巻 2 号 p. 97-107
    発行日: 2005/12/31
    公開日: 2010/03/19
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究では食習慣改善を目標にした減塩教室を事例として, シナリオ学習 (PBL方式) を応用した, 新しい教育方法のモデルを試行的に検討することを目的とした.
    方法: 青森県I村の住民で, 2002年度の減塩教室に参加した26名を対象とした.参加観察法により, 教室参加住民の学びを記録し, 学習過程を質的に分析した.
    結果: 各期における教室参加住民の学びを分析した結果, シナリオの登場人物の持つ問題点の抽出, シナリオと自分との共通点, シナリオの登場人物の解決策の考案, 自分のこれからの具体的目標, 改善目標の達成度に関する自己評価と反省, 教室全体を通じての意見, 等に類型化される学習過程が展開された.
    結論: シナリオ学習 (PBL方式) を用いた健康教育における教授・学習活動を通して, 参加者たちは, 主体的な学習能力や健康問題の解決を自ら考案できる力, そしてまた健康教育の中で得られた成果を教育終了後の普段の生活に生かす力の基礎を身に付けることができたと捉えられる.
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