日本健康教育学会誌
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神卒社会人の社内サポートネットワーク構造がメンタルヘルスに及ぼす影響について
河合 薫山崎 喜比古
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2006 年 14 巻 2 号 p. 71-81

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抄録

目的: 新卒社会人の入社半年後のメンタルヘルスを良好に保つ, 効果的な社内サポートネットワーク構造について検討した.
方法: 都内近郊の4大学卒業予定の男女890名に, 自記式調査票を入社直前・3ケ月後・半年後の計3回配布・回収し, すべてに回答した180名を分析の対象とした.メンタルヘルスの把握には心身症状, 抑うつ, 自尊感情, ワークモチベーションを用いた.サポートネットワークは仕事に役立つ情報をくれる情報的ネットワークと職場以外でも交流のある友好的ネットワークの2機能に分類し, 人数・役職・接触頻度・親密性の4項目をネットワーク構造の変数とした.分析は入社半年後のメンタルヘルス4指標各々で対象を高・低群に分割し, 入社3ケ月後時点のネットワーク構造の差を比較した (T検定) .
結果: 情報的ネットワークでは, 人数・接触頻度が多いほど自尊感情とワークモチベーションが高く, 役職の高さはワークモチベーションとのみ関連した.親密性の高さはメンタルヘルス4指標すべての良好さに影響した.友好的ネットワークでは, 4項目すべてが自尊感情とワークモチベーションの良好さと関連を示した.
結論: 仕事に役立つ情報をくれるより多くの人と, 頻繁に接触し, 親密性の高いネットワーク構築の重要性が示唆された.職場以外でも交流のある仲のいい同僚を得ることも, 自尊感情とワークモチベーションを高めることが明らかになった.

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