抄録
都市部の3~4カ月の乳児をもつ母親445名に関する調査結果から, 育児グループへの参加状況や活動実態, 参加者の生活や健康の状況について検討し, 以下の知見を得た。
1.育児グループ活動への参加者は調査対象集団の1割程度で, すでに第1子がおりグループ参加期間は1年未満から3年未満の者が多かった。非参加者のうち, 約3割が入りたいと考えていた。
2.参加者の多くは, 地縁を基盤に内発的に結成され, 週1回ないし月1回以上の頻度で公的社会施設あるいはメンバー宅に集まり, 行政や保健医療専門家との関わりをもたず, 親子遊び, 情報交換, 話し合いや相談などの活動を行い, メンバーはほぼ固定しリーダーがいるという, セルフヘルプグループ型の育児グループに参加していた。
3.グループ参加者は非参加者よりも身体違和感や気力の低下が少なく, 隣近所とのつき合いが密接であり, 夫からの精神的サポートや義親や近所の人や友人からの育児に関わる手段的サポートをよく得ていた。また, 参加者はグループ活動が有意義だと感じ, 積極的な態度で参加しており, 今後も参加し続けたいと考えていることから, 育児グループ活動は, 地域における母親の持続的問題解決能力の一つになり得ると考えられた。
4.育児グループに対する専門職からの援助として, 現在行われている外発的グループ育成だけでなく, すでに存在する内発的グループに対しても援助を検討することが必要と思われた。地域に所在する各グループに関する情報を収集し提供することや, グループの活動ニーズに応じて公的資源やスペース, 専門的知識や技術を提供することが望まれた。
〔日健教誌, 1995; 2: 17-26〕