日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
敷地内禁煙への賛否を予測する要因は何か
種市 摂子大島 紀人佐々木 司
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キーワード: 敷地内禁煙
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2014 年 22 巻 4 号 p. 240-246

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抄録

背景:近年,先進国においては敷地内禁煙の環境が整備されるようになっている。実際,敷地内禁煙は,健康リスクや生産性の低下を減少させ得る最も効果的な方法のひとつである。しかしながら,敷地内禁煙の施行までには,反対する意見も根強く,反対者の同意を得ることが困難な場合が多い。目的:敷地内禁煙の賛成と反対を予測する要因を明らかにする。方法:全国に事業所を有する某エネルギー関連企業の社員を対象に,2010年10月〜11月にかけて,調査を行った。調査対象者は,1964名(回収率100%)であった。各社員に,喫煙に関する自己記入式の質問票を配布し,1926名について解析を行った。質問票は,1)パーソナルデータ,2)喫煙状況(現在喫煙,過去喫煙,非喫煙),3)環境タバコ煙に対する感情,環境タバコ煙に関する意識,喫煙による生産性の低下についての意識,敷地内禁煙への賛否とした。現在喫煙者は,軽(10本未満),中(11〜20本),重(21本以上)とした。敷地内禁煙の賛否を予測する要因について,単変量ロジスティック回帰分析および多変量ロジスティック回帰分析を行った。結果:敷地内禁煙に反対する人は,若年者,喫煙本数が多い人で,喫煙本数が増えるほど,敷地内禁煙に反対する傾向が強くなり,ヘビースモーカーでは顕著であった。また,環境タバコ煙を不快に感じない人,環境タバコ煙について意識しない人,喫煙による生産性の損失を意識していない人においても,反対する傾向がみられた。結論:敷地内禁煙への賛否は,ヘビースモーカー,若年者,環境タバコ煙に関する意識生産性の損失への意識と関連している。若年者において,環境タバコ煙による健康影響や喫煙による生産性の損失についての教育は,敷地内禁煙を達成に有用と考えられた。

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© 2014 日本健康医学会
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