日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
最新号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
巻頭言
第26回日本健康医学会総会における特別講演のまとめ
原著
  • 境 俊子, 冨樫 千秋
    2017 年 26 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    目的:中堅看護師は,自身のキャリアの方向性を再考し修正する時期であり,質的な転換をするといわれている。中堅看護師の自己効力感に影響する要因を明らかにすることにより,先行研究の示す多くの困難や葛藤に直面する中堅看護師に対し,キャリア開発の観点からの支援や支援内容の提言につなげることができると考えた。そこで,本研究の目的は,中堅看護師の自己効力感に影響する要因を明らかにすることとした。

    方法:関東圏の200床以上の病院29施設に勤務する経験年数4~10年目の中堅看護師を対象に,質問紙調査を実施した。尺度は,特性的自己効力感尺度・看護の専門職的自律性測定尺度・看護職職業性ストレス簡易評価表・Hopkins Symptom Checklistを使用した。分析には,χ 2検定・t検定,ロジスティック回帰分析を用いた。

    結果:1312名に配布し,600名から回答があった(回収率45.7%)。有効回答数は367(有効回答率61.1%)であった。ロジスティック回帰分析を行った結果,最終学歴が短期大学の看護師,役割が臨地実習指導者である看護師,成功体験のある看護師の自己効力感が高かった。

    自己効力感を経験年数別にみると,経験年数7年目を境に自己効力感高群が自己効力感低群より多くなった。さらに,経験年数を経るにつれ,自己効力感は高くなっていくが,心身への注意喚起と職場内サポートは,経験年数5~8年目が低かった。

    結論:中堅看護師が,アンバランスな状況を乗り越えていけるように,能力を見極めた上での役割を与えること,成功体験を認めていくこと,支援している意向を伝えること,体調管理に目を配ることの必要性が示唆された。

  • 永田 智子, 石田 貞代, 山下 麻実
    2017 年 26 巻 2 号 p. 74-79
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    【目的】初産婦の妊娠期における心理社会的適応状態と職業キャリア成熟との関連を明らかにすること。

    【方法】2015年10月~2016年3月に,A県内の産科施設1施設と3つの市区町村で開催された分娩前教育(両親教室)へ参加した初産婦を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。心理社会的側面への適応状態は日本語版Prenatal Self-Evaluation Questionnaire(J-PSEQ),職業キャリア成熟については職業キャリア成熟尺度を用いた。なお,本研究は,横浜創英大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。

    【結果・考察】390名に質問紙を配布し,154名より回収した(回収率39.5%)。対象者は,年齢(平均±SD)32.5±4.3歳,妊娠週数は17~40週,就業年数8.4±4.7年,出産後の就業予定は継続49.4%,退職(予定含む)49.4%であった。心理社会的側面への適応状態(J-PSEQ)の下位スケール「母親との関係」と「夫との関係」が,職業キャリア成熟尺度合計得点と弱い相関があった。また,職業キャリア成熟尺度合計得点を従属変数とする重回帰分析では,雇用形態が正規フルタイム,今後の就業予定が就業継続,J-PSEQ「母親との関係」が有意な独立変数であった。妊婦への保健指導の際には,実母や夫との関係の適応状態や,妊婦が就業を継続する上での障害を確認し,必要に応じて他の専門職と連携するなどの具体的な支援が必要である。

  • 吉田 宗弘, 斉 悦, 吉原 花織, 細見 亮太, 福永 健治
    2017 年 26 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    茶は微量ミネラルであるマンガンを豊富に含んでおり,マンガンの給源として重要である。緑茶に含まれるマンガンの栄養有効性を確認する目的で,4週齢のWistar系雄ラット18頭を3群に分け,低マンガン飼料(マンガン濃度0.45μg/g),低マンガン飼料に10μg/gのマンガンを炭酸マンガン,または緑茶抽出物として添加した飼料を与えて4週間飼育した。飼育期間終了後に各群ラットの肝臓,腎臓,小腸,脾臓,大腿骨,および脳マンガン濃度を測定したところ,いずれも低マンガン飼料投与群が他の2群に比較して有意に低い値を示した。一方,臓器中マンガン濃度において,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間には差がまったく認められなかった。また,糞へのマンガン排泄量とマンガン摂取にもとづいて算定したマンガンの見かけの吸収率においても,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間に差はなかった。これらのことは,緑茶に含有されるマンガンの栄養有効性が炭酸マンガンと同等であることを示している。

  • 鈴木 康宏
    2017 年 26 巻 2 号 p. 86-92
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    男性看護師と女性看護師のワーク・ファミリー・コンフリクト(以下:WFC)を比較するために,質問紙を用いて仕事と生活の実情ならびにコンフリクトの強さについて調査を行った。

    一般病床数200床以上の病院に勤務する男性看護師および同じ病院の産婦人科以外に勤務する女性看護師を調査対象とし,WFCスケール日本語版18項目および調査対象の背景に関する20項目について自記式質問紙調査を行った。調査期間は2016年1月であった。調査協力のえられた86施設,4098名(女性2403名,男性1695名)に配布し,1985名(女性1251名,男性733名,性別不明1名)より返信があった。分析には回答項目に欠損値がない1735人分(女性1081名,男性654名)のデータを用いて男性と女性に群別し比較を行った。

    男女でのWFCスケールは,WFCの平均値(SD)は女性が51.2(10.2),男性が49.6(10.5)であり,Welchのt検定の結果,p=.001であり有意差が認められた。加えて,ダミー変数を用いて性別を独立変数として投入し,WFCを従属変数とした線形重回帰分析を行い,R2=.093,Adjusted R2=.086,F-statistic=12.65,p<.001であった。性別では男性を1としたときの偏回帰係数は-1.665とマイナスであり,男性のWFCが低くなることを示していた。

    男性と女性を比較した結果,女性のWFCが高い傾向にあることが明らかとなった。また,性別以外にも残業時間や通勤時間,希望部署,看護師養成学校の違い,配偶者や子どもと同居していること,介護者の有無,認定資格の有無,役職の有無,仕事を続けている理由がWFCに影響があると明らかになった。

  • 中澤 沙織, 鈴木 英子, 川村 晴美, 山本 貴子
    2017 年 26 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    目的:新卒看護師と先輩看護師の関わりに関連した研究の動向を文献検討により明らかにすることである。

    方法:医学中央雑誌(2001~2016年)を用いて,「新卒看護師and関わり」,「新人看護師and関わり」の用語で検索した。新卒看護師を対象とし,新卒看護師と先輩看護師の関わりが記載されている18件の文献を分析対象とした。文献は,著者・対象・目的・方法・結果ごとに整理した。13件の質的研究においては新卒看護師と先輩看護師の関わりの内容から,新卒看護師に効果的・非効果的な関わりを読み取り,効果的な接し方と効果的な指導方法及び非効果的な接し方と非効果的な指導方法に分類した。また5件の量的研究においては新卒看護師と先輩看護師の関わりと,効果的・非効果的な関連要因に分類した。

    結果・考察:新卒看護師と先輩看護師の関わりに関する研究は,2005年以降より増加傾向であった。質的研究では,効果的な接し方と効果的な指導方法及び非効果的な接し方と非効果的な指導方法で分類された新卒看護師と先輩看護師の具体的な関わりが明らかとなった。また量的研究では,新卒看護師と先輩看護師の関わりの関連要因として,仕事への意欲,ストレス,精神健康度など新卒看護師の精神面と関連するものがみられたが文献数は少なかった。今後これらの文献から得られた,効果的な接し方,効果的な指導方法,非効果的な接し方,非効果的な指導方法が新卒看護師に及ぼす影響を実証研究により明らかにしていくことが望まれる。

資料
  • 鈴木 みゆき, 徳重 あつ子
    2017 年 26 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    研究目的は,高齢男性の回復期脳卒中片麻痺患者の排尿状態と非麻痺側筋肉量との関連を明らかにし,非麻痺側筋肉量との関係から排尿回数,尿意回数,失禁回数,トイレ誘導回数,トイレ排尿回数の意義を検討することである。

    対象は,回復期リハビリテーション病棟に入院中の高齢男性の回復期脳卒中片麻痺患者8名である。研究方法は,入院2週目と10週目に排尿日誌を活用して排尿状態を把握するとともに生体電気インピーダンス法による筋肉量の測定を行い,その関係を分析した。その結果,初回調査では,非麻痺上肢筋肉量が失禁回数と負の相関関係(r=-0.88)にあり,トイレ誘導回数,トイレ排尿回数と正の相関関係(いずれもr=0.78)にあった。介助を受けながらであっても,失禁回数が少ないこと,トイレに誘導される回数が高いこと,実際にトイレで排尿する回数が多いことが,非麻痺側上肢筋肉量が多いことに関係していた。また,初回調査では,非麻痺側下肢筋肉量と尿意回数,トイレ誘導回数,トイレ排尿回数との間に有意な正の相関関係(r=0.82-0.88),失禁回数との間には負の相関関係(r=-0.89)が認められた。2回目調査では,非麻痺側下肢筋肉量と尿意回数,トイレ排尿回数との間で有意な正の相関関係(いずれもr=0.80),失禁回数とは負の相関関係(r=-0.94)が認められた。尿意があればあるほど非麻痺側下肢筋肉量が多くなる関係性があった。また,トイレに行けば行くほど非麻痺側下肢筋肉量が多くなる関係性も認められた。そして,失禁が少なければ少ないほど非麻痺側下肢筋肉量が多くなる関係性が明らかになった。

    排尿行動は,移乗や移動,立ち上がり,立位保持,衣服の着脱などの多くの動作を含み,1日の中でも繰り返し行われる。失禁の有無に関わらず,介助を受けながらであっても,トイレに行き,排尿を試みる動作の回数が多いことが,非麻痺側筋肉量の多さの観点から有意義であることが示唆された。

  • 青木 久恵, 上野 道雄, 中島 富有子, 窪田 惠子
    2017 年 26 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/11/30
    ジャーナル フリー

    2006年,福岡県内で在宅療養の高齢者に対する救急医療システムを有した地域医療ネットワークを構築し,2012年に登録患者を対象としたアンケート調査を実施した。本研究の目的は,アンケート結果を分析し,登録患者が持つ在宅医療ネットワークに対する思いを明らかにし,在宅医療ネットワークの効果と課題を検討することである。

    1702名の登録患者にアンケート調査を実施し,回収は1122名(回収率65.9%),有効回答は921名(82.1%)であった。このうち,在宅医療ネットワークに対する思いについて自由記述のあった111名(記載率12.1%)のデータを分析対象とした。得られたデータは,テキストマイニングを活用し質的帰納的に分析した。その結果,登録患者の在宅医療ネットワークに対する思いは,5つのカテゴリ(«緊急時に受け入れ病院があるという安心»«在宅医療ネットワークの活用方法について理解ができていなくても安心»«ネットワークに関する情報提供の要望»«緊急時に受け入れ病院が対応してくれなかった経験»«短期間の入院しかできないという伝聞に対する困惑»)で構成されると判断した。カテゴリの«緊急時に受け入れ病院があるという安心»は,在宅医療ネットワークの効果であると考えられた。しかし,カテゴリの«在宅医療ネットワークの活用方法について理解ができていなくても安心»は,在宅医療ネットワークについての漠然とした理解の上に成り立つ安心であり,在宅医療ネットワークに登録しただけで,システムを有効に活用できていないことが示唆され,今後の課題と考えられた。カテゴリの«在宅医療ネットワークに関する情報提供の要望»«緊急時に受け入れ病院が対応してくれなかった経験»«短期間の入院しかできないという伝聞に対する困惑»も課題と判断でき,登録患者への情報発信と緊急時の受け入れ体制改善の必要性が示唆された。

feedback
Top