2017 年 25 巻 4 号 p. 310-314
本研究は,2008年度の男性健診受診者を,受診結果から,現行の「情報提供」群を心血管疾患関連リスク無しのN群,1つでも有する場合をR群,「動機づけ支援」「積極的支援」を合わせたS群の3群に再構成して,5年後のメタボリックシンドローム(以下,MetS)該当を比較し,現行の「情報提供」群に含まれる心血管疾患関連リスク保有者への介入の必要性の有無を検証することを目的とした。再構成した指導区分の分析結果は,現行の腹部肥満を必須とする指導区分の階層化は妥当であるが,心血管疾患関連リスクを一つでも保有する場合,MetS発症のリスクは心血管疾患関連リスクを全く保有しない者に比べて有意に高いことから,現行の特定保健指導区分の「情報提供」群の中に,優先的に指導すべき対象者が含まれることが明らかとなった。そのため,「情報提供」群に含まれる,心血管疾患関連リスクを保有する者に対して,MetSを予防するための保健指導等の介入の必要性があることが示唆された。