茶は微量ミネラルであるマンガンを豊富に含んでおり,マンガンの給源として重要である。緑茶に含まれるマンガンの栄養有効性を確認する目的で,4週齢のWistar系雄ラット18頭を3群に分け,低マンガン飼料(マンガン濃度0.45μg/g),低マンガン飼料に10μg/gのマンガンを炭酸マンガン,または緑茶抽出物として添加した飼料を与えて4週間飼育した。飼育期間終了後に各群ラットの肝臓,腎臓,小腸,脾臓,大腿骨,および脳マンガン濃度を測定したところ,いずれも低マンガン飼料投与群が他の2群に比較して有意に低い値を示した。一方,臓器中マンガン濃度において,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間には差がまったく認められなかった。また,糞へのマンガン排泄量とマンガン摂取にもとづいて算定したマンガンの見かけの吸収率においても,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間に差はなかった。これらのことは,緑茶に含有されるマンガンの栄養有効性が炭酸マンガンと同等であることを示している。