日本健康医学会雑誌
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事例報告
災害医療と看護の探究:フィリピン共和国と日本の学生交流プログラムの実践報告
笹本 翔純竹内 翔子中村 幸代叶谷 由佳
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2020 年 28 巻 4 号 p. 420-426

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抄録

目的:2018年1月22日から26日にかけて実施されたフィリピン大学マニラ校(UPM)の学部生を横浜市立大学医学部看護学科(YCU)に招聘する国際交流プログラムの報告を目的としている。

プログラム:本国際交流プログラムは,2018年1月22日から26日までYCUによって開催された。プログラムの参加者は,10名のUPM大学生と引率教員1名を含む合計11名で,看護学部,公衆衛生学部,保健科学部より参加があった。プログラム内容は,グループワークと文化体験を含む,視察,講義,学生交流プログラムであった。視察先は,大学病院,保健所,防災センター等を選定し,講義は日本の人口統計,看護,健康保険制度,災害に関する法律の概要を扱った。また,日本の病院で働いているフィリピン人看護師も講師の一人として本プログラムに参加した。学生交流プログラムでは,UPMの学生がYCUの学生の講義に参加し,一緒に教室でグループワークを行い,キャンパス外では学生間の交流や文化交流を目的とした東京散策も行った。UPMの参加者11名全員が全プログラムを欠席せずに参加した。現地視察では,横浜市の外来診療所,病院集中治療室,救急用品倉庫,保健センター,防災センター等の保健施設を見学し,講義では,学生より積極的に質問があった。また,YCU看護学生と共同でディスカッションと英語での最終発表を行った。プログラム全体の終了時に,フィリピンと日本の参加学生から両国の災害医療と看護に関する理解を深め,お互いのグローバルな視点を養う有益なネットワークを築けたという肯定的フィードバックがあった。加えてYCUの学生は両国の災害医療と看護における相違点も認識していた。

結論:本国際交流プログラムは,プログラム参加者らのフィリピンと日本における災害医療と看護に関する理解を深め,グローバルな価値観を養うという点で有益であり,国際的課題に貢献する看護師の育成に繋がると考えられる。

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