日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
看護師長における自身のワーク・ライフ・バランスに対する認識の特徴
水口 誠子吾妻 知美
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2021 年 29 巻 4 号 p. 381-388

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抄録

本研究の目的は,看護職のワーク・ライフ・バランス(WLB)を推進する役割を担う看護師長における自身のWLBに対する認識の特徴を明らかにすること,および,その特徴から看護職のWLB推進の示唆を得ることである。データを収集するために,主要情報提供者であるWLBを推進している病棟看護師長7名,および一般情報提供者12名を対象に参与観察および半構造化インタビューを行った。分析はレイニンガーの民族看護学データ分析ガイドの段階に沿って実施した。その結果,看護師長のWLBに対する認識の特徴として【看護師長には,管理者役割があり,看護師長自身のWLBとスタッフのWLBは同じではないという認識がある】,【看護師長には,スタッフのWLB実現のために,ロールモデルとしていきいきとしている自分を見せる必要があるという認識がある】,【看護師長には,自身のWLB以前にすべてのスタッフが平等にWLBを実現できる職場づくりが重要であるという認識がある】,【看護師長は,WLB推進と自身のWLBについての限界とジレンマを認識している】という4つのテーマを抽出した。これらの結果から,看護職のWLB推進に向けて,スタッフ看護師のWLBだけでなく看護師長のWLB推進についても考慮されること,看護師長は,WLB推進のための職場づくりとして,子育て支援に偏ることなくすべてのスタッフに目を向け平等なWLB実現をめざしていくこと,そして,看護師長のストレス対策のためのセルフケアと相談システムなどの組織内でのシステム構築の必要性があることが示唆された。

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