生活習慣に関連する症状と疾患(生活習慣関連疾患)に対する予防意識ならびに遺伝子を有する場合の意識変容に及ぼす性・年代・喫煙習慣・服薬習慣の影響を調べるために,以前報告した一般市民と薬局スタッフを1つの集団(10-90代)として,質問紙調査の結果を再解析した。調査した生活習慣関連疾患の多くに関して,その発症に関連する遺伝子が不明の場合「何もしない」を選択する回答が多かった。しかし,70代以上の高齢者は高血圧・糖尿病・高コレステロール血症・動脈硬化において「疾患の原因となる食事成分を減らす」予防対策を選択する回答が多かった。つまり,高齢者は生活習慣関連疾患の中でも,動脈硬化に関連した疾患の予防意識を日常的に有していることが示唆された。一方,調査した生活習慣関連疾患の発症に関連する遺伝子を有することが判明した場合,背景因子(性別,年代,喫煙・服薬有無)に関わらず,不明の場合に比べて「何もしない」という選択が有意に少なく,「食事関連」の予防対策を選択する回答が多くなった。よって,生活習慣関連疾患に対する遺伝子検査は,背景因子に関係なく,それらの疾患の予防意識を高める可能性が示された。