1998 年 7 巻 1 号 p. 6-10
地域生活をおくる脊髄損傷者12人(男9,女3;頚髄損傷者6,胸髄損傷者6)の日常生活を面接調査した。12人中,全面的介護が必要な者は4人,部分的介護の必要な者は3人であり,頚髄損傷の場合に介護の必要性が高かったが,胸髄損傷でも高齢化のために介護を要する事例を認めた。健康状態良好と回答した者は4人で,8人は痛みやしびれなどを理由に健康状態不良と回答した。全員が排尿や褥瘡予防に留意しており,11人が定期的に泌尿器科を受診していた。福祉制度について,情報が不十分,手続きが複雑との訴えがあった。障害受容に関する訴えから,受容を果たさずに退院する事例があると推察した。脊髄損傷者の地域生活には,セルフケア,福祉サービス,障害受容などに関し,助言,指導,および精神的フォローを個別的かつ継続的に行う人が地域内に必要と結論した。