近畿理学療法学術大会
第47回近畿理学療法学術大会
セッションID: 56
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肘離断性骨軟骨炎による骨軟骨移植術後の理学療法の経過
*奥田 鉄也後藤 匡志
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抄録
【目的】
 発育期における肘離断性骨軟骨炎(以下OCD)は、野 球肘の中でも重篤な障害であり、小学校高学年から中学 校低学年の発育期に初発する。今回我々は当院にてOCD と診断され、骨軟骨移植術施行後に理学療法を受けた症 例について現在の経過を報告する。
【方法】
 平成17年9月から平成19年4月までに当院を受診し、骨 軟骨移植術施行後に理学療法を受けた8名としました。 手術方法は、外側アプローチを用いて大腿骨外顆より骨 軟骨柱を採取し、くりぬいた肘の病巣部に採取した骨軟 骨柱を移植しました。肘については、術後三角巾のみで 固定してその中では自動運動を許可、膝については、48 時間アイシング安静後、術後3日目より歩行を許可しま した。その間は一切固定は行わず、術後約2週間後に外 来理学療法を開始しました。
【結果】
   術後2ヶ月までに肘屈曲約140度前後と正常可動域範囲、 肘伸展約0~-5度、回内外90度が可能となりました。ま た膝についても術後2ヶ月までに膝完全屈曲がほぼ可能 となりました。筋力レベルは理学療法開始時にはすでに 肘・膝においても4~5レベルはありました。術後2ヶ月 後より競技復帰へと徐々にすすめていきました。
【考察】
術後生活レベルの負荷は許可しました。中学生から高 校生ということより家の事情により通勤は自転車が必要 な症例もおり、通学レベルでの自転車の負荷は退院後よ り許可しました。また術後の固定がないために関節可動 域や筋力においてはスムーズに理学療法が行うことがで きました。膝においては関節可動域訓練を行わずに正常 可動域を得ることができました。
 競技復帰については、術後2ヶ月経過していること、 肘・膝可動域獲得、筋力獲得、固有感覚獲得、投球ホー ム獲得等の条件が整ってから徐々に開始しました。まず は学校の体育の授業の許可を行いました。
【まとめ】
主治医や本人・家族・チーム等の事情に応じて術後理 学療法をすすめた。負荷の設定については、主治医と相 談しながら医学的知見を踏まえてすすめた。今後の再発 予防としては、発育期におけるオーバーユースによるも のであるため、基本的には練習日数と時間、そして投球 の制限が必要である。また全身の関節機能を使用するた めに四肢や体幹からの運動連鎖や協調性を考慮した理学 療法が必要になってくる。
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© 2007 社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
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