肝外発育型肝細胞癌は特殊な形態を呈する比較的稀な肝細胞癌である.通常の肝細胞癌と同様,肝動脈に由来しない栄養血管(以下,肝外栄養血管)を伴うことがあり,時に周辺臓器への直接浸潤を来す.過去に報告された肝外発育型肝細胞癌を医学中央雑誌により検索した結果と,その引用文献に報告されている症例に自験例を合わせた157例を用いて,肝外発育型肝細胞癌の特徴,肝外栄養血管,他臓器浸潤に関する検討を行った.他臓器浸潤群は非浸潤群に比べて有意に腫瘍径が大きく,肝外栄養血管を伴う割合も高かった.さらに,腫瘍径の増大に従って肝外栄養血管を伴う腫瘍の割合は上昇していたが,その他の特徴に有意差は認めなかった.また,肝外栄養血管を伴う群は伴わない群に比較して有意に腫瘍径が大きかった.以上より,肝外発育型肝細胞癌の他臓器浸潤には腫瘍径の増大が重要であり,肝外栄養血管の評価が有用となる可能性が示唆された.