近畿理学療法学術大会
第48回近畿理学療法学術大会
セッションID: 90
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非利き手によるボーリング投球課題における言語的KRの運動再現性についての検討
*米田 浩久鈴木 俊明鈴木 はる江
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抄録
【目的】我々の先行研究では、非利き手による下手投げ的当て課題において、言語的KRのみを用いた運動学習で有意な成功率の増加を確認した。運動学習とは、予め定められている運動課題を速さ、正確さ、円滑さなどの面から効率よく遂行するための運動行動の変化であり、学習された動作が同じ状況で再現される場合、毎回の動作はほぼ同じになる。鈴木らは投球動作のリリース時の再現性とコントロールの安定性は比例するとしている。つまり、言語的なKRの付与によって成功率が増大したのであれば、その動作再現性も他群に比べて向上したことが考えられる。そこで今回、他群に比べて言語的なKR付与時に成功率が増大した者を対象に、リリース時の上肢アライメントを基に動作再現性について検討したので報告する。
【方法】対象者は、先行研究において言語的なKRのみを付与した場合に他群に比べて成功率が有意に増大した者の中から無作為に抽出した健常成人3名(男子2名、女子1名、平均年齢24.7±1.5歳)とした。なお、対象者からは本研究について同意を得ている。実験課題は、非利き手でソフトボール(直径8cm)を下手投げに転がして、5m先に置かれた立方体の目標物(12cm四方、高さ25_cm_)に当てさせた。この際の条件として同一被検者に対し、1)言語的情報は一切与えず、視覚のみで実行、2)目標を遮蔽し、失敗時にのみ施行後に言語によるKRとして目標物への方向とおおまかな距離を対象者に口頭で付与、3))目標を視認させたうえで、失敗時にのみ施行後に言語によるKRとして目標物への方向とおおまかな距離を対象者に口頭で付与の3条件を設定した。各条件とも20回練習した上で、学習結果判定を5回おこなった。また、この間、被検者の側方4mの位置からビデオカメラによって撮影をおこなった。なお、各条件の試行間隔は13.3±1.4日であった。検討方法は以下のとおりとした。抽出した3名の各条件の学習結果判定全試行のビデオ画像を基に、動画編集ソフトを用いて30fpsに静止画処理した。その後、各条件全試行のボールリリース時の静止画像を基に肩峰、肘関節外側上顆、橈骨茎状突起、第2指MP関節の相当部位をプロットし、パソコン上でx座標とy座標を求めた。得られた各座標を基にExcelの三角関数(ATAN2)を用いて角度を算出し、得られた角度を基に各条件での変動係数を求め、検討をおこなった。
【結果】全対象者において、条件2)の各プロット点の変動係数は他の条件に比べて最も小さな値を示した。
【まとめ】今回、動作再現性を比較検討するために、リリース時の上肢アライメントを基に比較検討をおこなった。その結果、言語的KRのみを付与する学習動作では、成功率だけでなく、高い動作再現性が得られることが示唆された。
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© 2008 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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