抄録
近年フルオラス溶媒を用いた触媒反応が注目されている。当研究室において開発されたm-テルフェニルユニットに基づくボウル型トリアリールホスフィンを基本骨格として、ペルフルオロアルキル鎖を6個導入した新規なフルオラスホスフィンを合成した。このホスフィンでは、分子の外周部をペルフルオロアルキル鎖が覆っており、親フルオロ性が増すとともにリン中心への電子的影響が抑制されている。このホスフィン、および塩化パラジウムとの反応により得られる単核錯体は、ペルフルオロヘキサンに高い溶解性を示した。また、この単核錯体はフルオラス溶媒/DMF二相系におけるStille coupling反応において触媒活性を示した。