我々はこれまでに、ある一連のキラルグリセロール誘導体が再結晶により光学分割現象を示すことを見出し、この現象を「優先富化現象(Preferential Enrichment)」と名付けた 。今回、優先富化現象が、ラセミ化合物結晶であるアミノ酸についても適用可能か否かについて検討した。その結果、アミノ酸としてロイシンを用いて、わずかに鏡像体過剰率 (ee) をずらしてから水とエタノールの混合溶媒中から室温で再結晶したところ、過剰のエナンチオマーの母液中での富化(9~15% ee)と、析出結晶中での他方のエナンチオマーの富化(2~5%ee)が、再現性高く起こることが判明したので報告する。