抄録
Cryptolepinoneはindoloquinoline alkaloidの一つであるがその分子構造が議論されている．この分子はcryptolepinone(keto形)と11-hydroxycryptolepine(enol形)の二つの形として存在しうる．どちらが安定であるかわかっていない．本研究では溶媒中のcryptolepinoneと11-hydroxycryptolepineの相対安定性を半経験的分子軌道法及びhybrid-density functional法を用いて調べた．その結果，調べた溶媒（pyridine, acetone, MeOH, MeCN及びDMSO）すべてでcryptolepinoneが安定であった．これはMeOH及びMeCN中ではcryptolepinoneと11-hydroxycryptolepineの両方が存在するという実験結果と一致しない．この不一致はMeOH及びMeCN溶液が11-hydroxycryptolepine以外の化学種を含んでいることを示唆する．
