抄録
スピロナフトピランへの光照射によって生成する閉環体は熱力学的に不安定であるため熱的に閉環体に戻る。そこでこの熱閉環過程の反応速度を種々の高粘性溶媒と低粘性溶媒中とで測定し,その動的溶媒効果を検討した。その結果,低粘性溶媒中と比較して,高粘性溶媒中では圧力の増加に従って反応の強い抑制が見られた。これは遷移状態理論の破綻が起こったためと推定できる。また一定粘度における活性化エネルギーは粘度の増加によって低下している。よってこのような反応系においては化学座標と媒体座標を独立した座標で取り扱う二次元反応座標モデルを用いる必要があると考えられる。