共催: 日本化学会, 日本化学会九州支部, 有機合成化学協会(協賛)
一電子移動により駆動される分子構造変換を,記憶・演算のような可逆性を要する機能性素子に活用することを考えた場合,分子を中性に戻すための速やかな逆電子移動過程が必要となる。すなわち,分子と,その変換にトリガーをかける電極等との間の瞬間的な電子交換により,クリーンに構造変化が進行する分子系が望まれる。我々は,こうした観点から,置換ノルボルナジエんの光異性化によりエネルギーを蓄積させた高歪み化合物であるクアドリシクランの逆反応について検討し,正味の電流をほとんど流さずに定量的に異性化が進行する反応系が見出されたので報告する。