2010 年 2010 巻 61 号 p. 215-219
ヒメボクトウ幼虫に対する昆虫寄生性線虫スタイナーネマ・カーポカプサエ剤,BT水和剤,MEP乳剤,フルベンジアミド水和剤の防除効果を室内経口試験で検討した結果,スタイナーネマ・カーポカプサエ剤とフルベンジアミド水和剤の効果が高かった.また,5 月中旬または6 月中旬に野外のリンゴのヒメボクトウ被害樹に,噴霧器を使った散布と吸引カテーテルおよびマイクロピペット用チップを利用した注射器によるかん注でスタイナーネマ・カーポカプサエ剤の効果を検討した結果,各処理の効果に振れがみられた.室内試験で効果の高かったスタイナーネマ・カーポカプサエ剤が,野外試験において効果が安定しなかった要因は,樹体内の被害孔道構造が変化に富んでいるため,散布,かん注のいずれの方法でも薬液の到達しなかった孔道で幼虫が生き残り,効果が低くなったものと推察された.