2010 年 2010 巻 61 号 p. 76-79
2008 年に宮城県内に分布するキュウリ褐斑病菌の各種薬剤に関する感受性を検定したところ,チオファネートメチル,ジエトフェンカルブ,ボスカリド,ストロビルリンに耐性を示す菌株が確認された.そのうち県内には,チオファネートメチル,ストロビルリン耐性菌およびチオファネートメチル,ボスカリド,ストロビルリン耐性菌が多く分布していることが明らかとなった.2009 年にも耐性菌の分布状況を調査したところ,同様の結果であった.これら2 タイプの薬剤耐性キュウリ褐斑病菌に対する各種薬剤の防除効果を調査した.供試菌株が耐性を示す系統の薬剤については,防除効果は非常に低かった.その他の供試薬剤では,いずれも高い防除効果が得られた.県内に分布する薬剤耐性キュウリ褐斑病菌に対しては,異なる系統の薬剤を予防散布することで十分な防除効果があることが確認された.また,いずれの供試菌株に対しても効果が見られたのは,TPN 水和剤,ポリカーバメート水和剤,フルジオキソニル水和剤であった.