北日本病害虫研究会報
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いもち病圃場抵抗性に優れる水稲新品種「きたくりん(空育172 号)」におけるいもち病防除体系
藤根 統小倉 玲奈長濱 恵
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2013 年 2013 巻 64 号 p. 21-24

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抄録

穂いもち圃場抵抗性がやや強~強と優れている北海道の水稲新品種「きたくりん(空育172 号)」におけるいもち病防除の薬剤散布回数を検討した.対照品種は穂いもち圃場抵抗性やや弱の「ほしのゆめ」とし,出穂期防除を基本として薬剤2 回散布,1 回散布,無散布の3 処理区を設け,接種条件で行った.「きたくりん」では葉いもちの発生が少なく,無散布区の病穂率が被害許容水準を概ね下回り,「ほしのゆめ」2 回散布区と比較して同等から低かった.「ほしのゆめ」無散布区の穂いもちが甚発生条件の試験で,「きたくりん」無散布区の病穂率が被害許容水準を越え収量が減少する傾向が認められたが,周囲にいもち病の甚発生圃場がある場合を除き,実被害は発生しないと考えられた.これらのことから,「きたくりん」でのいもち病対策は種子消毒と圃場衛生のみで,本田における薬剤散布は不要であると結論づけた.

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© 2013 北日本病害虫研究会
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