北日本病害虫研究会報
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下層土におけるジャガイモシロシストセンチュウの存在およびD-D剤の効果
伊藤 賢治奈良部 孝小野寺 鶴将相場 聡串田 篤彦村松 康一相場 勝
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2017 年 2017 巻 68 号 p. 160-163

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抄録

北海道網走市のジャガイモシロシストセンチュウ発生ほ場において,D-D剤処理前後に地表から深さ 40 cmまで10 cmごとの線虫密度を調査した.試験はジャガイモ栽培翌年の裸地あるいはコムギ栽培後の計4ほ場で実施した.なお,これらのうち3ほ場ではジャガイモ栽培から土壌調査までの期間に耕深30~ 45 cmで耕起されていた.調査した4ほ場すべてで30~40 cmの層からもシストが検出され,シスト内にはふ化活性を持つ生存卵も確認された.D-D剤(97%)40 l/10 aによる土壌くん蒸処理は,裸地ほ場では6月に,コムギ栽培後ほ場では9~10月に実施した.処理後は,全層にわたって生存卵の検出数が少なくなった.注入位置(19 cm深)よりも深い30~40 cmの層における生存卵は処理前の0.13%(6月処理)または6.3%(9~10月処理)まで減少し,下層土に存在する卵に対してもD-D剤による殺卵効果が認め られた.

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