2017 年 2017 巻 68 号 p. 90-96
アスパラガスに発生する疫病(Phytophthora sp.)やFusarium属菌による病害(立枯病,株腐病)を対象として,現地土壌を用いた生物検定による診断手法を検討した.まず,診断の指標を明らかにするため,アスパラガス苗を用いて接種試験を実施したところ,疫病菌の接種では,地上部の黄化や枯死,根部の水浸腐敗症状が認められた.この根部病徴を指標とすることで,疫病を対象とした土壌汚染の推測が可能と考えられた.Fusarium属菌の接種試験では,地上部の黄化や枯死,地際や根部の褐変症状が認められ,本症状は立枯病,株腐病に共通してみられた.この根部病徴を指標とすることでFusarium属菌による病害を対象とした土壌汚染の推測が可能と考えられた.次に,接種試験で示された診断指標に基づいて,現地土壌を用いた生物検定を実施した.土壌病害の発生が疑われる現地13ほ場の土壌をポットに充填し,アスパラガス苗を移植した後,25°C,底面吸水で1カ月間栽培した.その結果,8ほ場では根部の水浸腐敗症状が認められ,併せてイムノクロマト法による疫病検定で陽性となった.また,全ほ場で根部の褐変症状が認められ,褐変部位からはFusarium属菌がPCR法によって検出された.以上より,生物検定と併せてイムノクロマト法による疫病検定を実施することで,アスパラガス土壌病害の診断が可能と考えられた.