北日本病害虫研究会報
Online ISSN : 2185-4114
Print ISSN : 0368-623X
ISSN-L : 0368-623X
報文
根端採取が容易な根箱を用いた転炉スラグによる土壌pH矯正がホモプシス根腐病菌の感染に及ぼす影響の評価法
永坂 厚
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 2022 巻 73 号 p. 37-42

詳細
抄録

キュウリホモプシス根腐病は転炉スラグを用いて土壌pHを7.5程度に矯正すると被害が軽減されるが,そのメカニズムは明確になっていない.pH矯正が感染に与える影響を調べるため,接種したキュウリ苗の根における感染率の評価を試みた.発病根が脆いため,メッシュシートで内部を区切った根箱による簡便な根端部採取法を考案した.採取した根端部より再分離し,土壌pH矯正と無処理対照の根箱で感染率を比較した.無処理対照が平均0.29(最小–最大,0–0.69)であったのに対し,土壌pH矯正では0.18(同,0.03–0.41)となり,一般化線形混合モデルで有意な低下を確認した(p<0.05).キュウリ苗の一部は萎凋していたが,外観健全な根箱のみの比較でも感染率に有意な差があった.土壌pH矯正はホモプシス根腐病菌の感染を抑制することで被害を軽減すると考えられた.この評価法はメカニズムの解明に有用と考えられた.

著者関連情報
© 2022 北日本病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top