2023 年 2023 巻 74 号 p. 72-77
青森県津軽地域におけるダイズ吸実性カメムシの誘殺状況と子実被害について2021, 22年に調査した.誘殺状況はホソヘリカメムシとイチモンジカメムシの2種を対象とし,フェロモントラップによって調査した.ホソヘリカメムシの誘殺数のピークは8月第2週~第4週の間で,年次や調査場所で差が認められたが,概ね8月中下旬が誘殺数の多い時期であると考えられた.カメムシ防除の実施されていない圃場における子実被害の割合は,平坦地では0.9~21.8%,と,年次間差が大きかったが,山間地では1.1~5.5%あるいは4.3~9.3%と年次間差は比較的小さかった.2022年には本県での発生がほとんど確認されていないイチモンジカメムシが,少数ながらも沿岸部平坦地~山間地内陸部の3地点で誘殺された.また,10月上中旬にはダイズの落葉下から複数のイチモンジカメムシ終齢幼虫と成虫が認められたことから,ダイズ生育期間中に少なくとも1世代は経過しており,青森県内においても定着している可能性が示唆された.